ヒルクライムレース練習理論【ポラライズド】

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自分のヒルクライム練習理論をエネルギー代謝から裏付けしようという話。

記事に書いて言語化することで自分の中での整理を付けつつ、誰かの参考になれば嬉しい。

自分は化学系の大学院修士課程を修めているものの、生化学は分野外。書籍やWEB記事で勉強したものになります。
また自転車向けの記事ということで化学(生化学)の専門用語は勝手な置換えをしているのでご容赦を。
〈ヒルクライムレースでの運動強度〉
ヒルクライムレースではL4ゾーンだけが重要ではない。

自分の赤城山ヒルクライム2022のログを例に上げると3つの区切りに分けられる。
(61分台、30台クラス9位)

1.スタート~旧料金所(24分)までの集団走行区間
2.旧料金所~のペースアップ区間
3.集団から千切れての一人旅区間

それぞれのパワーゾーンはおおよそ
1はL3~L4
2はL5~L6
3はL4となっている。
赤城山ヒルクライム2022 パワーログ
速度が低いヒルクライムレースとはいえドラフティングの効果は存在するため、他の選手を無視して一人走るわけにはいかない。そのためペースの上げ下げは存在する。

赤城山に限らず、東日本のメジャーヒルクライム大会は富士ヒルを除いて“勝負所“が存在し、そこまでの区間は緩く進行する事が多い。
ハルヒルの初心者コースゴール/神社コースゴール。乗鞍の三本滝しかり。

富士ヒルは最初(料金所)からカチ上がって、中盤は少し緩む。ペース変動があるという意味では似てるか。

純粋にL4で走るのは勝負所を終えて一人旅になった後で、勝負はほぼ終わった後と言っても過言ではない。
ここで本題の練習理論に移ると、私の練習スタイルは所謂ポラライズドトレーニングに分類されるかと思う。
20対80といった法則を厳密に守ってはいないものの、高強度インターバルを週2回程実施し、残りの日をL2~L3で繋いでいる。
L4やSSTといった閾値系のメニューはレース本番が近くなってようやく行うといった感じ。

2月のログはL6とL5に対してL4は三分の一程度の時間しか行っていない。
2023年2月パワーログ
ここから裏付けの話になるが、
運動強度によって必要な能力が異なるというのは自転車界隈でもよく目にし、大体こんな感じでまとめられているかと思う。

・低出力時 :脂質燃焼能力
→ロングライドで鍛える
・中出力時:乳酸分解能力
→閾値走(SST、L4)で鍛える
・大出力時:酸素を大量に取り込み大きなエネルギーを生成する能力
→インターバルトレーニングで鍛える。

実はエネルギー代謝の観点では、脂質燃焼能力と乳酸分解能力が実は同じ系統だとすると話は変わってくると思う。

キーワードは「ミトコンドリア」
〈エネルギー生成のメカニズム〉
速く登るためにはパワーを出す必要がある。
パワーを出すには強く筋肉を動かす必要がある。強く筋肉を動かすためにはエネルギーを大量に消費する必要がある。

筋肉のエネルギーはATPと呼ばれ、糖質や脂質を分解することで生成される。

筋肉のエネルギー(ATP)生成で使われる経路は大きく分けて2種類ある。(クレアチンリン酸系は割愛)

1つが脂質系、もう1つが解糖系と呼ばれる。こ2つは独立して稼働するわけではなく、解糖系と脂質系は連続して働く。

解糖系は糖質をピルビン酸という中間化合物に分解するまでを指す。この時点でATPが2つ生成する。
解糖系は筋組織内て行われる。

脂質系はピルビン酸に脂質を混ぜ合わせて完全に酸化(水と二酸化炭素に分解)することでATPを32コ生成することが可能。この反応はミトコンドリア内で行われる。

脂質系はデメリットなしで稼働できるが、反応速度が遅いため、フル稼働してもレース強度のエネルギーを賄うには不足する。
1コの糖質(=ピルビン酸)に対し32コのATPが発生するため、糖質を節約できるという特徴もあるが、1時間程度でゴールするヒルクライムレースでは無視してよいと考える。

つまり、脂質系をフル稼働しても足りない分のエネルギーは、反応速度が速く大量のエネルギーを生成できる解糖系で生成する。

しかし解糖系の生成物のピルビン酸は脂質系経路で分解するので、解糖系の割合が大きくなると分解できずにどんどん溜まっていく。
そして分解できないピルビン酸は乳酸に変化する。(血中酸素が足らない場合も糖質から乳酸が直接生成する)

乳酸閾値濃度というのはパワートレーニング用語でよく聞くかと思うが、このようなメカニズムで乳酸は溜まっていく。

個人的に最も興味深い事は、乳酸はミトコンドリア内での反応によって、ピルビン酸に戻る。

手書きで申し訳ないが、エネルギー生成の流れを図にすると下記の通りとなる。
エネルギー代謝図
〈エネルギー代謝の参考文献〉
エネルギー代謝を活かしたスポーツトレーニング (KSスポーツ医科学書), 八田 秀雄

スポーツ栄養学: 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる, 寺田 新

https://rikujo.taiiku.tsukuba.ac.jp/column/2015/59.html

https://sprint-condition.info/category38/entry478.html
じゃあどうやってミトコンドリアを増やすかと言うことになる。

ここでは挙げないが、LT"以上"の高強度トレーニングでミトコンドリアが増えるという文献は多数存在する。

一方でLT域でのトレーニングが最も効率的という文献はパワートレーニングバイブル以外には見つからなかった。

LTは血中乳酸値が急上昇する前の強度なので、乳酸は一定濃度でキープする処理が出来ていることになる。
処理できない乳酸濃度が刺激を与えることで活性化するという方が理にかなっていると私は考える。

これは体感に過ぎないかもしれないが、LT走にはレース強度に“慣れる"という別の観点もある。レース中は殆どL4ゾーンで過ごすわけで、その強度に慣れるというのは大切。

これも体感だが、LTペースには1ヶ月程度で慣れるため、慣れる目的では年間通じて行う必要は無いと感じている。

以上をまとめると
・自分の練習はポラライズドトレーニング。
・ヒルクライムレースでは勝負所の大出力も大切。
・大出力を出すと乳酸が蓄積する。
・脂肪燃焼だけでなく、乳酸処理もミトコンドリアが行う。
・大出力のインターバルトレーニングを行うことで乳酸濃度を高めてミトコンドリアを発達させる。
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